少額の資産はどこまで一括経費?取得価額別の判定早見表
パソコンや備品を買ったときに「今期の費用にできるか、資産に計上して何年かで償却するか」は、取得価額で分かれます。しかも中小企業者等の特例は、2026年(令和8年)4月1日以後の取得から30万円未満→40万円未満に引き上げられました。取得価額ごとに選べる処理と、忘れがちな固定資産税(償却資産)の申告要否をまとめました。
本表は2026年度(令和8年度)税制改正後の法人税法・租税特別措置法にもとづく一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。
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表1: 取得価額別に選べる処理(2026年4月1日以後の取得)
| 取得価額 | 全額を損金 (消耗品費等) | 一括償却資産 (3年均等) | 中小企業者等 の特例 | 通常の 減価償却 | 固定資産税 (償却資産)の申告 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10万円未満 | ○ | ○ | ○ | ○ | 全額損金・一括償却なら不要 |
| 10万円以上 20万円未満 | × | ○ | ○ | ○ | 一括償却なら不要 |
| 20万円以上 40万円未満 | × | × | ○(中小企業者等のみ) | ○ | 特例を使うと申告対象 |
| 40万円以上 | × | × | × | ○ | 申告対象 |
- 全額損金(法令133条1項/所令138条1項): 取得価額10万円未満、または使用可能期間が1年未満のもの。事業供用時に全額を損金経理します。
- 一括償却資産(法令133条の2第1項/所令139条1項): 20万円未満の資産をまとめて、取得価額の合計額 × その事業年度の月数 ÷ 36 で3年間で均等に償却します。個々の資産では管理せず、途中で除却・売却しても3年間の償却を続けます。
- 中小企業者等の少額減価償却資産の特例(措法67条の5): 下の表2・表3のとおり。
表2: 中小企業者等の特例は2026年4月1日で変わった
判定は取得等をする日(取得・製作・建設をした日)で行います。決算期ではありません。
| 取得等をした日 | 対象となる取得価額 | 対象から外れる法人 |
|---|---|---|
| 令和8年3月31日以前 | 30万円未満 | 常時使用する従業員数が500人を超える法人 |
| 令和8年4月1日以後 | 40万円未満 | 常時使用する従業員数が400人を超える法人 |
あわせて適用期限が3年延長され、令和11年(2029年)3月31日までに取得等をしたものが対象になりました。年間の合計額の上限は引き続き300万円です。
注意: 解説資料やソフトのヘルプには改正前の「30万円未満」のまま記載されているものが残っています。取得等をした日がいつかで判定してください。
表3: 中小企業者等の特例の要件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象法人 | 青色申告書を提出する中小企業者等で、常時使用する従業員数が400人以下(特定法人については300人以下)の法人。個人事業者にも同様の制度があります |
| 対象資産 | 取得価額が40万円未満の減価償却資産(令和8年4月1日以後に取得等をしたもの)。中古資産・ソフトウェアも対象 |
| 年間の上限 | その事業年度の少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円まで(300万円に達するまでの分が限度。事業年度が1年未満なら月数按分) |
| 適用期限 | 令和11年(2029年)3月31日までに取得等をして事業の用に供したもの |
| 手続 | 確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告する |
表4: 取得価額の数え方(判定の実務ポイント)
| 論点 | 取扱い |
|---|---|
| 何を1単位として数える? | 通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。応接セットは1セット、カーテンは1部屋分、といった単位です。パソコン本体とモニターを別々に使えるなら別単位、セットでしか機能しないなら合計で判定します |
| 消費税は含める? | 会社が採用している経理方式によります。税抜経理なら税抜価格、税込経理なら税込価格で判定します(税込経理だと同じ買い物でも判定ラインを超えることがあります) |
| 送料・設置費用は? | その資産を事業の用に供するために直接要した費用(引取運賃・据付費など)は取得価額に含めます |
| 使用可能期間1年未満とは | その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつその使用可能期間が1年未満であるもの。金額にかかわらず全額損金にできます |
表5: 固定資産税(償却資産)の申告に影響する
法人税では一括で費用にできても、市区町村に申告する償却資産では扱いが違います。ここを取り違えると申告漏れになります。
| 処理 | 償却資産の申告 |
|---|---|
| 10万円未満で一時に損金算入した資産 | 申告不要 |
| 20万円未満で3年間の一括償却をした資産 | 申告不要 |
| 中小企業者等の特例で損金算入した資産 | 申告対象(法人税・所得税では損金算入できますが、固定資産税(償却資産)では適用されません) |
| 通常の減価償却をする資産 | 申告対象 |
償却資産の申告は毎年1月1日現在の所有分を1月31日までに、資産の所在する市区町村へ。課税標準額の合計が150万円未満なら課税されませんが、申告自体は必要です。評価額の計算と2027年の申告期限は償却資産の評価額と申告の早見表にまとめています。
あわせて変わった30万円→40万円
- 中小企業経営強化税制(措法42の12の4): 令和8年4月1日以後に取得等をする工具・器具備品の取得価額要件が、30万円以上 → 40万円以上に引き上げられました。
- 中小企業投資促進税制(措法42の6): 工具の要件が「1台又は1基の取得価額が30万円以上でその合計額が120万円以上」から「1台又は1基の取得価額が40万円以上でその合計額が120万円以上」に変わりました(令和8年4月1日以後に終了する事業年度から適用。施行日をまたぐ事業年度には経過措置あり)。
よくある質問
Q1. 25万円のパソコンは今期の費用にできる?
A. 2026年4月1日以後に取得したなら、中小企業者等の特例(40万円未満)で全額損金にできます(年300万円の枠内・青色申告・従業員400人以下)。2026年3月31日以前の取得なら30万円未満なので、25万円は特例の対象でした。特例が使えない場合は通常の減価償却になります。なお、この特例を使った資産は償却資産の申告対象です。
Q2. 18万円の備品は一括償却と中小企業特例のどちらを選ぶ?
A. どちらも選べます。事実として違うのは、一括償却資産は3年に分けて償却するが償却資産の申告が不要、中小企業特例は当期に全額を損金にできるが償却資産の申告対象になり、年300万円の枠を消費するという点です。どちらが自社にとって適切かは税理士にご相談ください。
Q3. 税込経理だと判定が変わる?
A. 変わります。判定は自社の経理方式で行うため、税込経理の会社は税込価格で判定します。たとえば本体価格38万円(税込41.8万円)は、税抜経理なら40万円未満で特例の対象、税込経理なら40万円以上で対象外になります。
Q4. 一括償却資産を2年目に捨てたら、残りは除却損にできる?
A. できません。一括償却資産は個々の資産として管理せず、除却・売却しても3年間の均等償却を続けます。逆に言えば、資産管理台帳から外して償却だけ続ける運用になります。
Q5. 40万円以上になったら何年で償却する?
A. 資産の種類ごとに定められた法定耐用年数で償却します(パソコンは4年、事務机・椅子は金属製15年など)。品目別の年数は姉妹サイトの耐用年数早見表(スペック早見表)が便利です。
関連する早見表
出典(すべて官公庁の一次情報)
- 国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」4 主な中小企業税制の見直し[PDF] — 表2の根拠(40万円未満への引上げ・3年延長・従業員400人・年300万円据え置き・経営強化税制と投資促進税制の要件)
- 国税庁 No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示 — 10万円未満・20万円未満・1単位の判定
- 国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 — 年300万円の上限・別表16(7)の添付
- 財務省 令和8年度税制改正の大綱
- 東京都主税局 固定資産税(償却資産) — 表5の根拠(中小企業特例を適用した資産は申告対象)
※ 本ページの表・数値は、上記の出典(公表値・法令の算式)をもとに当サイトが計算・編集(加工)して作成したものです。出典元の機関が作成したものではありません。
※ 本表は一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。どの処理を選ぶかの有利不利や、自社が中小企業者等に当たるかの判定については回答できません。所轄の税務署・税理士へ。償却資産の申告は資産の所在する市区町村へご確認ください。
最終更新: 2026-09-13