バックオフィス早見表

業務災害・通勤災害の判定早見表(寄り道したらどうなる)

「帰りにスーパーへ寄って転んだ」「子どもを保育園に送ってから出社する途中」——通勤災害になるかどうかは、逸脱・中断に当たるかと、日常生活上必要な行為の例外に当たるかで決まります。労災保険法の要件をケース別の判定表にしました。

本表は2026年度時点の労働者災害補償保険法・同法施行規則にもとづく一般的な情報です。実際の認定は所轄の労働基準監督署長が行います。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。

🚶 通勤災害 即答ボックス

寄り道したらその間と以後は対象外原則。ただし例外あり
買い物・通院なら経路に戻れば再び通勤逸脱・中断の間は除く
トイレ・ジュース購入はささいな行為逸脱・中断にならない
会社の送迎バスは業務災害業務の性質を有するため
最初の3日間の補償は業務災害のみ会社が負担通勤災害に補償義務なし
解雇制限(労基法19条)は業務災害のみ通勤災害には適用なし

表1: 労災の3区分

区分定義
業務災害労働者が業務を原因として被った負傷・疾病・障害または死亡。事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した災害
複数業務要因災害複数事業労働者(傷病等が生じた時点で、事業主が同一でない複数の事業場に同時に使用されている労働者)の2以上の事業の業務を要因とする傷病等。対象は脳・心臓疾患や精神障害など
通勤災害労働者が通勤により被った負傷・疾病・障害または死亡

表2: 「通勤」の3類型と5つの要件

要件内容
移動の類型
(次のいずれか)
(1) 住居と就業の場所との間の往復
(2) 就業の場所から他の就業の場所への移動(複数の事業場で働く場合の、1つ目から2つ目への移動)
(3) 住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動(転任に伴い片道60km以上等で通勤が困難となり住居を移転し、やむを得ない事情で配偶者等と別居した場合の、単身赴任先と帰省先の移動)
就業に関し移動が業務と密接な関連をもって行われること。被災当日に就業することとなっていた、または現実に就業していたことが必要。遅刻やラッシュを避ける早出など、通常の出勤時刻と多少前後しても関連性は認められる
住居労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等で、本人の就業のための拠点。就業の必要上、家族の住む場所とは別に借りたアパートもここでいう住居になる。交通ストライキ等でやむを得ず泊まった会社近くのホテルも住居となる
就業の場所業務を開始し、または終了する場所。外勤で複数の用務先を回る場合は、最初の用務先が業務開始の場所、最後の用務先が業務終了の場所
合理的な経路及び方法一般に労働者が用いると認められる経路・方法。通常利用する経路が複数あればいずれも合理的。交通事情による迂回、マイカー通勤者が駐車場を経由する経路も合理的。合理的な理由もなく著しく遠回りとなる経路は合理的な経路ではない
業務の性質を有するものを除く上記を満たしても、事業主の提供する専用交通機関での出退勤や緊急用務で休日に呼び出しを受けて出動する場合などは、通勤災害ではなく業務災害になる

表3: 逸脱・中断のケース別判定

逸脱=通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれること。中断=通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うこと。逸脱・中断があると、その間およびその後の移動は原則として通勤ではなくなります。

ケース逸脱・中断の間経路に戻った後
経路近くの公衆便所を使用ささいな行為。逸脱・中断にならない(全区間が通勤)
経路上の店でタバコ・ジュースを購入ささいな行為。逸脱・中断にならない(全区間が通勤)
帰宅途中にスーパーで日用品・夕食の買い物対象外再び通勤(日常生活上必要な行為)
通院(病院・診療所での診察・治療)対象外再び通勤
職業訓練・学校教育法1条の学校での教育等の受講対象外再び通勤
選挙権の行使対象外再び通勤
要介護状態にある家族の介護(継続的・反復して行うものに限る)対象外再び通勤
同僚と居酒屋で飲酒(私的な会合)対象外対象外のまま
映画館・パチンコ店に立ち寄る対象外対象外のまま
実家に立ち寄る(日常生活上必要な行為に当たらない場合)対象外対象外のまま

例外となる「日常生活上必要な行為」は、次の5つです(労災保険法施行規則8条)。やむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合に限り、逸脱・中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。

  1. 日用品の購入その他これに準ずる行為
  2. 職業訓練、学校教育法1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
  3. 選挙権の行使その他これに準ずる行為
  4. 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
  5. 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る)

⑤の介護については、平成29年1月1日から同居・扶養の要件が撤廃され、同居・扶養していない孫・祖父母・兄弟姉妹の介護のために経路を逸脱・中断した場合も対象になりました。

表4: 業務災害と通勤災害の実務上の違い

項目業務災害通勤災害
給付の名称療養補償給付・休業補償給付 等療養給付・休業給付 等(「補償」が付かない)
待期3日間の会社の補償義務あり(労基法76条。平均賃金の60%以上)なし
解雇制限(労基法19条)あり(療養のための休業期間+その後30日間は解雇できない)なし
一部負担金なしあり(療養給付を受ける場合)
死傷病報告必要(休業4日以上は遅滞なく、4日未満は四半期ごと)労働者死傷病報告の対象外
給付の水準休業(補償)等給付は給付基礎日額の60%+特別支給金20%で同じ(労災の休業補償早見表)

健康保険は「業務外の事由」による傷病が対象のため、業務災害・通勤災害に健康保険証は使えません。誤って使用した場合は、後日の切替手続きが必要になります。

よくある質問

Q1. 帰りにスーパーへ寄って、その後の帰り道で転倒した。労災になる?

A. 日用品の購入は「日常生活上必要な行為」にあたるため、買い物を終えて合理的な経路に戻った後の移動は再び通勤となり、通勤災害の対象になり得ます。店の中や、経路を外れている間の事故は対象外です。実際の認定は所轄の労働基準監督署長が行います。

Q2. 保育園に子どもを送ってから出勤する途中は?

A. 子の送迎のための経路が合理的な経路と認められる場合には、通勤として扱われることがあります。一方、送迎のために著しく遠回りとなる経路をとった場合や、送迎後に私的行為を行った場合は評価が変わります。個別の事情によるため、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q3. 会社の送迎バスでの事故は通勤災害?

A. 業務災害になります。事業主の提供する専用交通機関を利用しての出退勤は「業務の性質を有するもの」として通勤から除かれるためです。同様に、緊急用務のため休日に呼び出しを受けて出動する場合の移動も業務災害として扱われます。

Q4. 副業先へ向かう移動中の事故は?

A. 「就業の場所から他の就業の場所への移動」として通勤に含まれます。なお、複数の事業場で働く労働者の給付基礎日額は、原則としてすべての就業先の賃金額を合算して算定されます。

Q5. 単身赴任先と自宅の往復は?

A. 転任に伴い、直前の住居と就業の場所の日々の往復が片道60km以上等を考慮して困難となったため住居を移転し、やむを得ない事情で配偶者と別居した——といった要件を満たす場合、単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動が通勤に含まれます。原則として就業日とその前日または翌日までに行われるものが対象です。

Q6. 会社としてはどう対応すればいい?

A. 労災かどうかの判断は労働基準監督署長が行うため、会社が「これは労災ではない」と決めることはできません。本人からの申告を受けたら、事実関係(日時・経路・目的・行動)を記録し、請求書に事業主証明を行って所轄の労働基準監督署に提出します。休業4日以上の業務災害は労働者死傷病報告の提出も必要です。

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出典(すべて官公庁の一次情報)

※ 本ページの表・数値は、上記の出典(公表値・法令の算式)をもとに当サイトが計算・編集(加工)して作成したものです。出典元の機関が作成したものではありません。

※ 本表は一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。個別の事案が労災に当たるかの判断にはお答えできません。所轄の労働基準監督署へ。

最終更新: 2026-09-15

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