消費税はいつから課税事業者?判定早見表
消費税を納める義務があるかどうかは、2年前(前々事業年度)の課税売上高を基本に、いくつもの特例で決まります。「売上1,000万円以下だから免税」と思っていたら課税事業者だった——という事故を防ぐため、課税になる条件を上から順に並べました。
本表は2026年度(令和8年)時点の消費税法にもとづく一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。
🧾 消費税の納税義務 即答ボックス
表1: 課税事業者になる条件(どれか1つでも当てはまれば課税)
| # | 条件 | 判定するもの |
|---|---|---|
| ① | 基準期間の課税売上高が1,000万円超 | 個人事業者は前々年、事業年度が1年の法人は前々事業年度の課税売上高 |
| ② | 適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を受けている | 課税売上高や基準期間の有無にかかわらず、納税義務は免除されません |
| ③ | 特定期間の課税売上高が1,000万円超 | 個人は前年1月1日〜6月30日、法人は原則前事業年度開始の日以後6か月。課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で判定することもできる(いずれで判定するかは任意) |
| ④ | 新設法人: 基準期間がない法人で、事業年度開始の日の資本金の額(出資の金額)が1,000万円以上 | 設立1期目・2期目それぞれの期首で判定 |
| ⑤ | 特定新規設立法人: 基準期間がない資本金1,000万円未満の法人のうち、特定要件に該当し、判定対象者の基準期間相当期間の課税売上高が5億円超(令和6年10月1日以後開始する課税期間からは収益の額の合計額が50億円超の場合も) | 親会社等による支配関係 |
| ⑥ | 消費税課税事業者選択届出書を提出している | 自ら課税事業者を選択した場合 |
| ⑦ | 合併・分割があった場合の納税義務の免除の特例に該当する | 消費税法11条・12条 |
| ⑧ | 相続により、被相続人の事業を承継した場合の特例に該当する | 被相続人の基準期間の課税売上高が1,000万円超、または相続人と被相続人の合計が1,000万円超 |
※ ③の特定期間について、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から、国外事業者は給与等支払額による判定ができません(課税売上高のみで判定)。
表2: 新設法人の判定(設立1期目・2期目)
| ケース | 1期目 | 2期目 |
|---|---|---|
| 資本金1,000万円未満で設立・インボイス未登録・特定期間の要件にも該当しない | 免税 | 免税 |
| 資本金1,000万円以上で設立 | 課税 | 課税 |
| 資本金1,000万円未満で設立 → 1期目の途中で増資して1,000万円以上に | 免税(期首で判定するため) | 課税(2期目の期首で判定) |
| 資本金1,000万円未満だが、1期目の特定期間の課税売上高・給与等支払額がともに1,000万円超 | 免税 | 課税 |
| インボイス(適格請求書発行事業者)の登録を受けた | 課税 | 課税 |
新設法人に該当することとなった場合は「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を提出します。ただし、法人設立届出書に新設法人に該当する旨と所定の事項を記載して提出した場合は、この届出書の提出があったものとして取り扱われます(会社設立後の届出期限早見表)。
表3: 用語の整理
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 基準期間 | 個人事業者はその年の前々年。法人はその事業年度の前々事業年度(前々事業年度が1年未満の法人は、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間) |
| 特定期間 | 個人事業者は前年の1月1日〜6月30日。法人は原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間(前事業年度が1年未満の場合は異なることがある) |
| 課税売上高 | 消費税の課税対象となる売上(輸出免税を含む)。非課税売上・不課税取引は含まない(消費税の課税区分早見表) |
| 課税期間 | 原則として個人は暦年、法人は事業年度。届出により3か月・1か月に短縮することもできる |
基準期間の課税売上高は、基準期間が免税事業者だった場合は税込みの金額で判定します(課税事業者だった場合は税抜き)。1,000万円をわずかに超えるかどうかの判定では、この違いが結論を変えることがあります。
調整対象固定資産を買うと免税に戻れなくなる
新設法人・特定新規設立法人が、基準期間がない各課税期間中に調整対象固定資産(棚卸資産以外の資産で、建物・機械装置・車両・器具備品等のうち、一の取引単位の価額〈税抜き〉が100万円以上のもの)を取得し、その課税期間の確定申告を一般課税で行う場合、次の制限がかかります。
- その仕入れ等の日の属する課税期間から、その課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間は免税事業者になれません
- 同じ期間、「消費税簡易課税制度選択届出書」も提出できません
設立直後に高額な設備を購入して消費税の還付を受けた場合、その後3年間は課税事業者として申告し続けることになります。設備投資と免税・簡易課税の選択はセットで検討が必要です。
よくある質問
Q1. 売上が1,000万円以下ならインボイス登録していても免税?
A. いいえ。適格請求書発行事業者の登録を受けている場合、基準期間の課税売上高にかかわらず納税義務は免除されません。登録している限り課税事業者として申告が必要です(インボイスの記載事項・経過措置)。
Q2. 特定期間は「売上」と「給与」のどちらで判定する?
A. いずれで判定するかは納税者の任意です。特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等支払額の合計額が1,000万円以下であれば免税のままにできます(その逆も同様)。ただし、令和6年10月1日以後に開始する課税期間からは、国外事業者は給与等支払額による判定ができません。
Q3. 資本金999万円で設立すれば2期は必ず免税?
A. 必ずではありません。特定新規設立法人に該当する場合(親会社等の課税売上高が5億円超など)や、1期目の特定期間の要件に該当する場合、インボイス登録をした場合は課税事業者になります。また、1期目の途中で1,000万円以上に増資すると2期目は課税です。
Q4. 免税事業者は消費税を請求してはいけない?
A. 免税事業者であっても、取引価格の設定は当事者間の合意によります。ただし免税事業者は適格請求書(インボイス)を交付できず、取引先は原則として仕入税額控除ができません(経過措置あり)。取引条件の見直しにあたっては、下請法・独占禁止法上の問題が生じないよう注意が必要です。
Q5. 課税事業者になったらいつまでに届け出る?
A. 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えて課税事業者になる場合は「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」を、特定期間で該当する場合は「同(特定期間用)」を、速やかに納税地の所轄税務署長に提出します。届出がなくても納税義務は生じる(=出し忘れても免税にはならない)点に注意してください。
Q6. 簡易課税は誰でも選べる?
A. 基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、「消費税簡易課税制度選択届出書」を適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに提出している場合に選択できます。調整対象固定資産を取得した場合など、提出が制限される期間があります。
関連する早見表
出典(すべて官公庁の一次情報)
- 国税庁 No.6501 納税義務の免除 — 基準期間1,000万円・特定期間・インボイス登録者(表1の出典)
- 国税庁 No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例 — 新設法人・特定新規設立法人・調整対象固定資産(表2の出典)
- 国税庁 No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき
- 消費税法9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)・9条の2(特定期間)・11条・12条(合併・分割)・12条の2(新設法人)・12条の3(特定新規設立法人)・37条(簡易課税) — 本表の法定根拠
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※ 本表は一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。個別の納税義務の判定にはお答えできません。所轄の税務署・税理士へ。
最終更新: 2026-09-15