雇入れ時の安全衛生教育 早見表(2024年4月から全業種で8項目)
労働者を雇い入れたとき・作業内容を変更したときは、安全衛生教育が義務です(労働安全衛生法59条)。2024年(令和6年)4月1日から、業種によって一部の項目を省略できる規定が廃止され、全業種で8項目すべてが必須になりました。オフィスワークの会社も対象です。
本表は2026年度時点の労働安全衛生法・同法施行規則にもとづく一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。
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表1: 雇入れ時等の教育8項目(安衛則35条1項)
| # | 教育事項 | 2024年3月31日まで | 2024年4月1日から |
|---|---|---|---|
| 1 | 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること | 特定の業種以外は省略できた | 全業種で必須 |
| 2 | 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること | ||
| 3 | 作業手順に関すること | ||
| 4 | 作業開始時の点検に関すること | ||
| 5 | 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること | 全業種で必須 | 全業種で必須 |
| 6 | 整理、整頓及び清潔の保持に関すること | 全業種で必須 | 全業種で必須 |
| 7 | 事故時等における応急措置及び退避に関すること | 全業種で必須 | 全業種で必須 |
| 8 | 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項 | 全業種で必須 | 全業種で必須 |
改正のポイント: 従来、安衛則35条1項ただし書きにより、特定の業種(製造業・建設業等)以外の事業場では1号から4号までの教育を省略できるとされていましたが、この省略規定が削除され、1号〜4号の教育に係る適用業種が全業種に拡大されました(令和6年4月1日施行)。
つまり、小売・飲食・サービス・オフィスワーク中心の会社も、1〜4号を含む8項目すべてを実施する必要があります。
表2: 誰に・いつ行うか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 雇用形態や国籍にかかわらず、すべての労働者。正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員・日雇い・外国人労働者も含む |
| 派遣労働者 | 雇入れ時教育は派遣元が実施。作業内容変更時の教育・特別教育は業務の実態に応じて派遣先が行う場合がある |
| 実施時期 | ①労働者を雇い入れたとき ②労働者の作業内容を変更したとき(配置転換・新しい機械の導入など) |
| 省略できる場合 | 教育事項の全部または一部に関し十分な知識および技能を有していると認められる労働者については、その事項の教育を省略できる(安衛則35条2項)。業種による省略とは別の話で、個々の労働者の知識・技能にもとづく判断です |
| 教育の時間 | 法定の時間数の定めはないが、教育に要する時間は労働時間と解されるため、賃金の支払いが必要。時間外に行った場合は割増賃金も必要 |
| 費用 | 事業者が負担する |
| 記録 | 法定の様式はないが、実施日・対象者・教育内容・実施者を記録して保存しておくのが実務上の標準(安全衛生関係の記録は3年保存が目安) |
表3: 安全衛生教育の種類(混同しやすい4つ)
| 教育 | 根拠 | 対象 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 雇入れ時等の教育 | 安衛法59条1項・2項 安衛則35条 | 雇い入れた労働者・作業内容を変更した労働者(全業種・全労働者) | 義務 |
| 特別教育 | 安衛法59条3項 安衛則36条 | 危険または有害な業務に就かせる労働者(研削といしの取替え、アーク溶接、低圧電気取扱い、フォークリフト〈1t未満〉など、省令で定める業務) | 義務(記録は3年保存) |
| 職長等の教育 | 安衛法60条 | 新たに職務につくことになった職長その他の作業中の労働者を直接指導・監督する者(建設業、製造業〈一部を除く〉、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業) | 義務 |
| 能力向上教育・危険有害業務従事者への教育 | 安衛法19条の2・60条の2 | 安全管理者・衛生管理者等/危険有害業務に現に就いている者 | 努力義務(定期教育は5年ごとが目安) |
入社時の手続き全体は入社手続きチェックリスト、安全衛生の体制づくりは衛生管理者の選任基準をご覧ください。
よくある質問
Q1. オフィスワークだけの会社も8項目やるの?
A. 必要です。2024年4月1日から業種による省略規定が廃止され、全業種で8項目すべてが義務になりました。オフィスであっても、使用する機器(シュレッダー・脚立・PC等)の取扱い、VDT作業による疾病の予防、整理整頓、地震・火災時の応急措置と退避などを、自社の実態に即して教育内容に落とし込みます。
Q2. 1日だけのアルバイトにも必要?
A. 必要です。対象は雇用形態や国籍にかかわらずすべての労働者です。短時間・短期間の労働者ほど作業に不慣れで災害が起きやすいため、むしろ重要とされています。
Q3. 経験者なら省略できる?
A. 安衛則35条2項により、教育事項の全部または一部に関し十分な知識および技能を有していると認められる労働者については、その事項の教育を省略できます。ただしこれは個々の労働者の知識・技能にもとづく判断で、業種による一律の省略とは別です。省略した場合は、その根拠(前職の経験・資格等)を記録に残してください。
Q4. 教育時間は何時間必要?
A. 雇入れ時教育に法定の時間数はありません(特別教育には科目ごとの時間数が定められているものがあります)。ただし内容を実際に理解させる必要があるため、形式的に数分で済ませるのは適切ではありません。教育に要した時間は労働時間として賃金を支払います。
Q5. 配置転換のたびに必要?
A. 作業内容を変更したときは教育が必要です(安衛法59条2項)。同じ職場内の軽微な担当替えまで毎回必要というわけではありませんが、新しい機械・設備・化学物質を扱う、作業方法が大きく変わる場合は実施してください。
Q6. やらなかったらどうなる?
A. 安衛法59条違反として50万円以下の罰金の対象です(安衛法120条)。また、教育を行っていなかったことが労働災害の際に安全配慮義務違反として問われる可能性があります。
関連する早見表
出典(すべて官公庁の一次情報)
- 東京労働局「安全衛生教育(特別教育・職長教育・雇入れ時の教育)」 — 8項目の教育事項(表1の出典)
- 厚生労働省 基発0531第9号(令和4年5月31日、一部改正)[PDF] — 安衛則35条1項ただし書きの削除と適用業種の全業種への拡大(令和6年4月1日施行)
- 長野労働局「安全衛生教育を効果的に実施してください」[PDF] — 雇用形態や国籍にかかわらずすべての労働者が対象
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「安全衛生教育」
- 労働安全衛生法59条(安全衛生教育)・60条(職長等の教育)・60条の2・19条の2・120条(罰則)/労働安全衛生規則35条・36条・38条 — 本表の法定根拠
※ 本ページの表・数値は、上記の出典(公表値・法令の算式)をもとに当サイトが計算・編集(加工)して作成したものです。出典元の機関が作成したものではありません。
※ 本表は一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。個別の教育内容の適否にはお答えできません。所轄の労働基準監督署・産業保健総合支援センターへ。
最終更新: 2026-09-16