長時間労働者の面接指導 早見表(月80時間超で何をする)
時間外・休日労働が1か月あたり80時間を超えたら、まず本人への時間の通知が義務です。そのうえで疲労の蓄積が認められる人から申出があれば、医師による面接指導が義務。研究開発業務の従事者は月100時間超で申出なしに義務です。誰に・何時間で・何をするのかを整理しました。
本表は2026年度時点の労働安全衛生法・同法施行規則にもとづく一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。
🩺 面接指導 即答ボックス
表1: 対象者別の要件
| 対象 | 時間の基準 | 本人の申出 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 一般の労働者(管理監督者・事業場外みなしの適用者を含む) | 時間外・休日労働が月80時間超、かつ疲労の蓄積が認められる | 必要 | 義務(安衛法66条の8第1項) |
| 研究開発業務の従事者 | 時間外・休日労働が月100時間超 | 不要 | 義務(66条の8の2) |
| 研究開発業務の従事者(100時間以下) | 月80時間超かつ疲労の蓄積が認められる | 必要 | 義務(66条の8第1項) |
| 高度プロフェッショナル制度の対象労働者 | 健康管理時間が1週間あたり40時間を超えた時間が月100時間超 | 不要 | 義務(66条の8の4) |
| 上記以外で月80時間を超えた者 | 月80時間超 | 申出がない | 努力義務(実施するよう努める) |
| 月45時間を超え、健康への配慮が必要と認めた者 | 月45時間超 | — | 面接指導等の措置を講ずることが望ましい |
※ 時間外・休日労働時間は、1週間あたり40時間(法定労働時間)を基準として算定します(所定労働時間が週40時間に満たない事業場でも、40時間を基準にします)。
※ 研究開発業務従事者への面接指導の費用は事業者負担で、所定労働時間内に行う必要があります。時間外に行った場合は割増賃金の支払いが必要です。
表2: 毎月の流れ(会社がやること)
| # | やること | 時期 |
|---|---|---|
| ① | 労働時間の状況の把握(タイムカード・ICカード・PCの使用時間等の客観的な記録が原則。安衛法66条の8の3) | 日々 |
| ② | 時間外・休日労働時間の算定 | 毎月1回以上、一定の期日を定めて |
| ③ | 月80時間を超えた労働者本人への通知(超えた時間に関する情報) | 算定後 速やかに |
| ④ | 産業医への情報提供(月80時間を超えた労働者の氏名・超えた時間) | 算定後 速やかに(「速やかに」=おおむね2週間以内) |
| ⑤ | 本人からの申出を受ける(研究開発業務の月100時間超・高プロは申出不要) | — |
| ⑥ | 医師による面接指導の実施 | 申出後、遅滞なく |
| ⑦ | 面接指導の結果にもとづく医師からの意見聴取 | 面接指導後、遅滞なく |
| ⑧ | 必要に応じた就業上の措置(就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等) | — |
| ⑨ | 面接指導の結果の記録の作成・保存 | — |
③の通知は書面や電子メール等によるのが適当とされています。給与明細に時間外・休日労働時間数が記載されている場合は、これをもって通知としても差し支えありません。
通知は、高度プロフェッショナル制度の対象労働者を除き、管理監督者・事業場外労働のみなし労働時間制の適用者を含めたすべての労働者に適用されます。
月80時間を超えない労働者から労働時間に関する情報の開示を求められた場合は、これに応じることが望ましいとされています。
表3: 労働時間の状況を自己申告で把握する場合の要件
客観的な方法によることが原則ですが、やむを得ず自己申告による場合は、次のアからオまでの措置をすべて講じる必要があります。
| # | 措置 |
|---|---|
| ア | 自己申告の対象となる労働者に対して、労働時間の状況の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行う |
| イ | 実際に労働時間の状況を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、講ずべき措置について十分な説明を行う |
| ウ | 自己申告により把握した労働時間の状況が実際と合致しているか、必要に応じて実態調査を実施し、補正する |
| エ | 自己申告した時間を超えて事業場内にいる時間について報告させる場合、その報告が適正に行われているか確認する。休憩や自主的な研修・教育訓練・学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には事業者の指示により業務に従事しているなど、指揮命令下にあったと認められる時間は労働時間として扱う |
| オ | 自己申告できる時間数に上限を設けるなど、適正な申告を阻害する措置を設けてはならない。時間外労働手当の定額払い等が阻害要因になっていないか確認し、なっている場合は改善する。36協定の延長時間を超えて労働しているのに記録上は守っているようにすることが慣習的に行われていないかも確認する |
労働時間の考え方そのものは労働時間に含む・含まないの判定早見表をご覧ください。
よくある質問
Q1. 申出がなければ何もしなくていい?
A. いいえ。月80時間を超えた労働者本人への通知は、申出の有無にかかわらず義務です。この通知は「疲労の蓄積が認められる労働者の面接指導の申出を促すため」のもので、労働時間の情報のほか面接指導の実施方法・時期等の案内を併せて行うことが望まれるとされています。また、申出がない場合でも面接指導を実施するよう努めることが求められます。
Q2. 管理職も対象?
A. 対象です。労働時間・休憩・休日の規定が適用除外となる管理監督者も、労働時間の状況の把握(安衛法66条の8の3)と月80時間超の通知の対象です。面接指導も、申出があれば実施義務があります。
Q3. 通知はどうやって出す?
A. 書面や電子メール等が適当とされています。給与明細に時間外・休日労働時間数が記載されていれば、それをもって通知としても差し支えありません。毎月1回以上、一定の期日を定めて算定し、その算定後速やかに通知します。
Q4. 産業医がいない50人未満の事業場は?
A. 産業医の選任義務は常時50人以上の事業場ですが、面接指導の実施義務は事業場の規模にかかわらずあります。50人未満の事業場は、地域産業保健センター(地産保)で長時間労働者や高ストレス者に対する医師の面接指導等を無料で受けられます(ストレスチェックの実施義務早見表)。
Q5. 海外に派遣している社員は?
A. 面接指導の対象になった場合は、情報通信機器を用いた面接指導を実施することが適当とされています。それも困難な場合は、書面や電子メール等で健康状態を可能な限り確認し、必要な措置を講じたうえで、帰国後に面接指導が可能となり次第、速やかに実施します。
Q6. 研究開発業務の100時間超の面接指導にかかる費用や時間は?
A. 費用は事業者が負担します。また、事業の遂行にあたり当然実施されなければならない性格のものであるため、所定労働時間内に行う必要があります。時間外に行った場合は、面接指導に要した時間は労働時間と解されるため割増賃金の支払いが必要です。
関連する早見表
出典(すべて官公庁の一次情報)
- 厚生労働省「働き方改革関連法解説(労働安全衛生法/産業医・産業保健機能の強化関係)」[PDF] — 対象者の要件・通知・産業医への情報提供・自己申告の要件(表1〜表3の出典)
- 厚生労働省「長時間労働者への医師による面接指導制度について」[PDF]
- 厚生労働省 こころの耳「長時間労働者、高ストレス者の面接指導について」
- 労働安全衛生法66条の8(面接指導等)・66条の8の2(研究開発業務従事者)・66条の8の3(労働時間の状況の把握)・66条の8の4(高度プロフェッショナル制度対象者)・66条の9(努力義務)/労働安全衛生規則52条の2〜52条の8 — 本表の法定根拠
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※ 本表は一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。個別の健康状態・就業上の措置の当否にはお答えできません。産業医・産業保健総合支援センター・所轄の労働基準監督署へ。
最終更新: 2026-09-16