確定申告が必要な会社員・不要な会社員——令和8年分の要件、税金が戻るケース、申告期間の早見表
会社員(給与所得者)の大部分は、勤務先の年末調整で所得税の精算が終わるため、確定申告の必要はありません。ただし、給与の収入金額が2,000万円を超える人や、給与以外の所得(収入金額から必要経費を差し引いた額)が20万円を超える人などは、確定申告が必要です。医療費控除や住宅ローン控除の1年目のように、申告すると税金が戻るケースもあります。従業員から「自分は確定申告が要るか」と聞かれたときに、本人が当てはまる要件を確かめるための表です(この表は法令上の要件を並べたもので、要否を判断するのは本人です)。令和8年分の確定申告の期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)。要件の金額は、令和8年度税制改正の後も変わっていません。
🧾 確定申告の要否 即答ボックス(令和8年分・会社員)
表1: 確定申告が必要な主なケース(給与所得者・令和8年分)
番号は、国税庁タックスアンサーNo.1900の項目の順です。どれか1つに当てはまる人は、確定申告をしなければなりません。
| No. | 当てはまる人 | 金額・条件 | 例・補足 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 給与の収入金額が2,000万円を超える人 | 1年間の給与の収入金額が2,000万円超 | 年末調整の対象にならない | 所得税法121条1項・190条 |
| 2 | 給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象で、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える人 | 給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円超(所得金額=収入金額から必要経費を差し引いた額) | 副業の原稿料、フリマアプリなどを使った個人取引による所得(生活用の古着・家財の売却を除く)、民泊、暗号資産の売却などの雑所得、不動産所得など | 所得税法121条1項1号 |
| 3 | 給与を2か所以上から受け、その全部が源泉徴収の対象で、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得金額との合計が20万円を超える人 | 合計が20万円超。ただし、給与の収入金額の合計から所得控除の合計(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を差し引いた額が150万円以下で、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下の人は不要 | 例: 勤務先のほかに、扶養控除等申告書を出していない別の勤務先(アルバイト先など)からも給与を受けている | 所得税法121条1項2号 |
| 4 | 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人 | これらの所得金額が20万円以下でも必要 | 役員と特殊な関係にある人(役員の親族など)も同じ | 所得税法121条1項ただし書・所得税法施行令262条の2 |
| 5 | 災害減免法により、給与の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人 | — | — | 災害減免法 |
| 6 | 源泉徴収義務のない者から給与の支払を受けている人 | — | 例: 常時2人以下の家事使用人だけを雇う人から給与を受ける家事使用人、在日の大使館などから給与を受ける人、国外で給与の支払を受ける人 | 所得税基本通達121-5 |
| 7 | 退職所得について、正規の方法で計算した税額が、源泉徴収された税額より多くなる人 | — | — | 所得税法121条2項 |
※ いずれの場合も、確定申告をすれば税金が還付される人は除かれます(その人は表3の還付申告ができます)。また、確定申告が必要になるのは、所得控除を差し引いた後の所得に対する税額が、配当控除額と年末調整で受けた住宅借入金等特別控除額の合計を超える場合です(国税庁 No.2020)。
※ 「給与所得・退職所得以外の所得金額」は、収入金額ではなく、収入金額から必要経費を差し引いた所得の金額で見ます。表2の所得は合計に含めません。
※ 要件の金額(2,000万円・20万円・150万円)は所得税法121条で定められており、令和8年度税制改正(令和8年法律第12号)による改正後の条文でも変わっていません。
表2: 20万円の合計に含めない所得
| 所得 | 20万円の合計に含めない条件 |
|---|---|
| 上場株式等の配当等、非上場株式の少額配当等 | 確定申告をしないことを選んだもの |
| 特定口座の源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)内の上場株式等の譲渡による所得 | 確定申告をしないことを選んだもの |
| 特定公社債の利子 | 確定申告をしないことを選んだもの |
| 預貯金や一般公社債等の利子等 | 源泉分離課税とされるもの |
| 抵当証券などの金融類似商品の収益 | 源泉分離課税とされるもの |
| 一時払養老保険の差益 | 源泉分離課税とされるもの(保険期間等が5年以下のもの、5年超で5年以内に解約されたもの) |
※ フリマアプリなどで、自分が使っていた古着や家財など生活用の資産を売った所得は非課税で、確定申告は不要です(国税庁 No.1906)。
表3: 申告すると税金が戻ることがある主なケース
確定申告の義務がない人でも、源泉徴収された税額が1年分の税額より多いときは、還付申告で納め過ぎの税金の還付を受けられます。源泉徴収された税額も予定納税額もない人(源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円の給与所得者など)は、申告しても還付される税金はありません。
| ケース | 主な要件・金額 | 年末調整では | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 年の途中で退職し、その年のうちに再就職していない | 年末調整を受けていないため、源泉徴収された税額が納め過ぎになっていることがある。令和8年分は、改正後の基礎控除なども確定申告で適用される | 受けていない | 国税庁 No.1910・令和8年度税制改正Q&A Q7-1 |
| 令和8年分に特有: 令和8年11月30日以前に居住者として令和8年分の最後の給与を受け、その際に年末調整を受けた(年の途中で海外の支店等へ転勤して非居住者となった人、令和8年中に死亡により退職した人(相続人が準確定申告をします)、休業や休職をして令和8年末までに復職していない人など) | 年末調整では令和8年度改正後の基礎控除(合計所得金額489万円以下なら104万円)などが適用されていないため、改正後の控除の適用を受けるには確定申告が必要 | 改正後の控除は適用されていない | 令和8年度税制改正Q&A Q1-3・Q7-1 |
| 医療費控除 | 支払った医療費(保険金などで補てんされる額を除く)のうち、10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超える部分。控除は最高200万円 | 差し引けない(確定申告で) | 国税庁 No.1120 |
| セルフメディケーション税制(医療費控除の特例) | 対象の医薬品の購入費のうち12,000円を超える部分。控除は最高88,000円。通常の医療費控除とどちらか一方を選ぶ。健康診断や予防接種などの一定の取組が必要 | 差し引けない(確定申告で) | 国税庁 No.1129 |
| 寄附金控除(ふるさと納税を含む) | 特定寄附金の合計(総所得金額等の40%が上限)から2,000円を引いた額。確定申告が不要な給与所得者は、ふるさと納税先が5団体以内ならワンストップ特例も使える | 差し引けない(確定申告で) | 国税庁 No.1150・No.1155 |
| 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の1年目 | 控除を受ける最初の年分は確定申告が必要 | 2年目以後は年末調整で受けられる | 国税庁 No.1211-1 |
| 雑損控除 | 災害・盗難・横領によって、住宅や家財などの資産に損害を受けた | 差し引けない(確定申告で) | 国税庁 No.1110 |
| 給与所得者の特定支出控除 | 通勤費・転居費・研修費・資格取得費などの特定支出の合計が、給与所得控除額の2分の1を超える部分 | 差し引けない(確定申告で) | 国税庁 No.1415 |
| 退職金で「退職所得の受給に関する申告書」を出さなかった | 退職金の支払金額の20.42%が源泉徴収され、本人の確定申告で精算する | — | 国税庁 No.1420 |
※ 年末調整で差し引ける所得控除は、社会保険料・小規模企業共済等掛金・生命保険料・地震保険料・障害者・配偶者(特別)・扶養・特定親族特別・基礎控除などで、医療費控除・寄附金控除・雑損控除は含まれません(所得税法190条)。年末調整を受けた人が確定申告をするときは、年末調整を受けた給与も含めて申告します。還付申告をするときは、20万円以下の給与以外の所得も含めて申告します(国税庁 No.1900 Q&A)。
表4: 令和8年分の申告の期間と期限
| 手続き | 令和8年分の期間・期限 | 補足 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 還付申告(確定申告の義務がない人が、納め過ぎの税金の還付を受ける申告) | 2027年1月1日(金)から5年間 | 確定申告の期間とは関係なく提出できる。年の途中で退職して年末調整を受けていない人も同じ | 国税庁 No.2030・No.1910、国税通則法74条 |
| 確定申告(申告の義務がある人) | 2027年2月16日(火)〜3月15日(月) | 3月15日(月)は休日ではないため、期限の繰り下げはない | 所得税法120条1項(翌年2月16日から3月15日まで)、国税通則法10条2項 |
| 所得税の納付 | 2027年3月15日(月)まで | 確定申告で納める税額がある場合 | 所得税法128条、国税庁 No.2020 |
| 住民税の申告(所得税の確定申告をしない人のうち、申告が必要な人) | 2027年3月15日(月)まで | 令和9年度の住民税(令和8年中の所得)の申告。所得税の確定申告書を出した場合は、住民税の申告をしたものとみなされる。1月1日に給与支払報告書の提出義務がある勤務先から給与を受けていて、前年中に給与所得以外の所得がなかった人などは不要(317条の2第1項ただし書) | 地方税法317条の2第1項・317条の3 |
| 令和8年11月30日以前に令和8年分の準確定申告書(年の途中の死亡・出国によるもの)を出した人が、改正後の控除の適用を受ける更正の請求 | 2026年12月1日(火)〜2031年12月1日(月) | 令和8年度改正の施行日(令和8年12月1日)から | 令和8年度税制改正Q&A Q6-1・Q6-3 |
※ 還付申告の「5年間」は、その年の翌年1月1日から数えます(令和8年分は2027年1月1日(金)から)。ただし、青色申告特別控除(55万円・65万円)など、法定申告期限までの提出が要件になっている特例を受けるときは、還付申告でも法定申告期限(原則翌年3月15日)までに提出します(国税庁 No.2030)。
使い方(確定申告が必要かの確かめ方)
- 給与の収入金額(1年間の給与・賞与の総額。源泉徴収票の「支払金額」の欄)が2,000万円を超えるかを確かめる。超えれば表1の1
- 給与を受けているのが1か所か、2か所以上かを確かめる。1か所なら表1の2、2か所以上なら表1の3
- 給与・退職所得以外の所得金額(収入金額−必要経費)を合計する。表2の所得は含めない。これを20万円と比べる
- 表1のどれにも当たらなくても、表3に当たれば申告すると税金が戻ることがある(還付申告は5年間)
- 所得税の確定申告をしない場合でも、給与以外の所得があれば住民税の申告が必要なことがある(お住まいの市区町村で確認)
※ この表は法令上の要件を並べたものです。個々の従業員の要否を勤務先や当サイトが判定するものではありません。迷う場合の確認先は所轄の税務署です。
よくある質問
Q1. 副業の所得が20万円以下なら、何も申告しなくてよいですか?
A. 所得税は、給与を1か所から受けていて給与の収入金額が2,000万円以下、給与の全部が源泉徴収の対象などの条件を満たしていれば、確定申告の必要はありません。ただし住民税には所得税のような扱いがなく、名古屋市や横浜市は、所得税の確定申告をしない場合は住民税の申告が必要と案内しています(申告の期限は3月15日)。また、医療費控除などのために還付申告をするときは、20万円以下の所得も含めて申告します(国税庁 No.1900のQ&A)。
Q2. ふるさと納税のワンストップ特例を申請した人が、医療費控除で確定申告をするとどうなりますか?
A. 確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。ワンストップ特例を申請した寄附も含めて寄附金控除の額を計算し、確定申告書に記載します(国税庁 No.1155)。
Q3. 令和8年分で特に気をつけることはありますか?
A. 令和8年度税制改正による基礎控除の引上げなどは令和8年12月1日に施行され、12月の年末調整で適用されます。令和8年11月30日以前に令和8年分の最後の給与を受けて年末調整を受けた人(休業や休職をして年末までに復職していない人など)や、年の途中で退職して年末調整を受けていない人が改正後の控除の適用を受けるには、確定申告が必要です。源泉徴収された税額が0円の人は、申告しても還付される税金はありません。なお、確定申告が必要になる要件の金額(2,000万円・20万円・150万円)は変わっていません。
Q4. 還付申告はいつまでできますか?
A. 還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。令和8年分は2027年1月1日(金)から提出できます。年の途中で退職して年末調整を受けていない人の還付申告も同じです(国税庁 No.2030・No.1910)。ただし、青色申告特別控除など法定申告期限までの提出が要件になっている特例を受けるときは、法定申告期限(原則翌年3月15日)までに提出します。
関連する早見表
出典(すべて官公庁の一次情報)
- 国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 — 表1の7項目、2か所給与の150万円の注、表2(20万円の合計に含めない所得)、還付される人は除くこと
- 同 No.1900 Q&A「確定申告を要しない場合の意義」 — 還付申告をするときは20万円以下の所得も給与所得とあわせて申告(Q1・表3の注)
- 同 No.1500 雑所得 — 副業に係る所得(原稿料など)は雑所得(表1の2)
- 同 No.1901 同族会社の役員で確定申告の必要な人 — 表1の4(20万円以下でも必要、親族など)
- 同 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合 — 表1の2の例、生活用の資産の売却は非課税(表2の注)
- 国税庁「暮らしの税情報」(令和8年度版)給与所得者と税 — 所得金額は収入金額から必要経費を控除した後の金額、確定申告をすると還付される場合
- 同 No.2020 確定申告 — 申告が必要になる税額の条件(表1の注)、申告・納付の期限
- 同 No.2030 還付申告 — 翌年1月1日から5年間(表4・Q4)、法定申告期限までの提出が要件の特例、源泉徴収税額も予定納税額もない人は還付なし、還付申告の具体例
- 同 No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき — 表3の1行目
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)[PDF] — Q1-1(令和8年12月1日施行)・Q1-3・Q7-1(11月30日以前の年末調整・中途退職者は確定申告で改正後の控除)・Q6-1・Q6-3(更正の請求の期間)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」昨年と比べて変わった点[PDF] — 改正後の基礎控除額(合計所得金額489万円以下は104万円)
- 同 年末調整とは[PDF] — 年末調整の対象とならない人(主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人など)
- 同 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) — 10万円・総所得金額等の5%・最高200万円
- 同 No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(セルフメディケーション税制) — 12,000円超・最高88,000円・通常の医療費控除との選択
- 同 No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除) — 総所得金額等の40%・2,000円
- 同 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除) — ワンストップ特例(5団体以内)と、確定申告をした場合の取扱い(Q2)
- 同 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除) — 最初の年分は確定申告、2年目以後は年末調整
- 同 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) — 表3
- 同 No.1415 給与所得者の特定支出控除 — 給与所得控除額の2分の1を超える部分
- 同 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得) — 申告書を出さないと20.42%の源泉徴収、確定申告で精算
- 国税庁 所得税基本通達 第121条関係 — 121-5(源泉徴収されない給与の例。表1の6)
- 所得税法(e-Gov法令検索) — 120条1項(第三期=翌年2月16日から3月15日まで)・121条(2,000万円・20万円・150万円。令和8年法律第12号による改正後も同じ)・122条・125条(年の途中で死亡した人の準確定申告は相続人が行う)・128条・190条
- 国税通則法(e-Gov法令検索) — 10条2項(期限が休日にあたるとき)・74条(還付金等の請求権は5年)
- 地方税法(e-Gov法令検索) — 317条の2第1項(住民税の申告は3月15日まで)・317条の3(確定申告書の提出で住民税の申告をしたものとみなす)
- 名古屋市「給与所得者で副収入がある場合、市民税・県民税の申告は?」 — 20万円以下でも住民税の申告が必要(Q1)
- 横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告は…」 — 確定申告をしなかった場合は住民税の申告が必要(Q1)
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※ 本表は2026年10月(令和8年分)時点の一般的な情報です。実際の手続き・判断は公式情報および専門家にご確認ください。個々の従業員の確定申告の要否にはお答えできません。所轄の税務署にご確認ください。
最終更新: 2026-10-19